Lunatic
「スクアーロ」 背後からの聞き慣れた声に、スクアーロは静かに振り返った。 「…てめぇかぁ」 「任務失敗したんだって?」 その女はそう言ってスクアーロの隣に座る。 「珍しいじゃない、貴方がミスするなんて」 「…うるせぇぞ」 てめぇに何が分かる、と言って女を睨みつけたが、女は怯む様子もない。 「『傲慢なる鮫』スペルビ・スクアーロ」 そしてふっと笑う。 「私、貴方が好きよ」 スクアーロの頬に触れると、女は顔を近付けそっと囁いた。 「鮫は気高く美しい生き物、」 まるで貴方のよう。 「う"お"ぉい、てめぇ誘ってんのかぁ?」 スクアーロは女の殺し屋とは思えない細い腕を掴むとソファーに押し倒した。 女は嫌がるどころか、自分からスクアーロの首に腕を回してくる。 「そんな獰猛なところにも惹かれるわ」 そうして微笑むと、女はそっと唇を重ねた。 (鮫に喰われるのなら本望だもの)